「外国⼈材を安く雇う」という時代は終わっている

  • 2022.10.02 公開
  • written by IKEDA

技能実習制度の趣旨は、『我が国で培われた技能、技術⼜は知識を開発途上地域等へ移転することによって、当該地域等の経済発展を担う「⼈づくり」に寄与することを⽬的』としています。
技能実習においては、受け⼊れ企業のほとんどは「⼈⼿不⾜」を要因として実習⽣を受け⼊れているのが現状です。

「⼈材を安く雇いたいから」という理由で受け⼊れる事はないでしょう。

なぜなら、最低賃⾦法も技能実習⽣にも適⽤され、近年では同⼀労働同⼀賃⾦も例外なく適 ⽤されます。
そして、社会保険労働保険も適⽤されます。

現地の送出し機関では、安い⾦額では「そんな⾦額では⼈は集まらないですよ〜」となって いるのが現状です。

技能実習の制度に対して多くの⽇本⼈は「安い⾦額で働かせる」という考えがあるかもしれ ませんが、2022 年は既に「どんな条件でも⽇本で働きたい」と思う時代ではなくなってい ます。
この関係法令が遵守されているかどうか、監理団体と外部監査⼈に法律上で義務付けられ ている事は別で記事にします。

有効求⼈倍率と有効求⼈数の割合

賃⾦に関わる労働関係法は遵守してもらうように監理団体とは念⼊りに話します。
ただ、我々が⾒据えているのは、賃⾦だけではない「労働条件の改善」が外国⼈だけでなく ⽇本⼈の雇⽤に繋がる事です。
有効求⼈倍率において1 倍になったというニュースが報道されました。
しかし、技能実習制度の対象となっている職業別でみると、「建設躯体⼯事」の求⼈倍率は 10 倍を超えています(2022年8 ⽉) 約10 社の応募に対し1 ⼈の採⽤しか決まらないというのが現状です。

また数ある職業の中で職業別の有効求⼈数の割合は、「介護サービス」が全体の約8%を占 め、求⼈倍率は3 倍を超えています。
(2022 年8 ⽉) どれだけ⼈が集まらないか、現場で企業に触れている⼈であれば、なおさら感じています。
「働き⽅改⾰」により業界毎の法律も変化しています。

また、経営学にも⼤きな影響を及ぼし、様々な意⾒が乱⽴しています。 経営学の中で改善⽅法を探るのは困難な以上、経営学を参考にし、どの様なビジョンを策定 しなければなりません。 技能実習制度に関わる⾏政書⼠は、マクロとしてではなくミクロとしての視点が主になる でしょう。
技能実習の対象職種は有効求⼈倍率において厳しい数字となっている職種が多い中で、「労 働条件の改善」により、⽇本⼈の求⼈の採⽤にも繋がるサポートができればと思っています。

⼆⼈三脚、三位⼀体

⾏政書⼠の役割は「予防法務」にあるので、企業が円滑に事業を進める様にサポートします。
しかしスポット的に関わるのではなく、伴⾛、すなわち⼆⼈三脚で進むことに意義があります。
そして技能実習制度においては監理団体と「三位⼀体」となって事業を進める必要があります。

冒頭に述べた様に、企業が実習⽣を受け⼊れる要因は「⼈⼿不⾜」だとしても、この「三位⼀体」により技能実習制度の趣旨は達成されるでしょう。

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