解体業の技能実習生の受入れ

  • 2022.12.09 公開
  • written by IKEDA

建設業のうち、解体業の許可を持つ企業が実習生を受け入れたいという案件がありました。
技能実習の作業の中に「解体作業」が無いため、受入れる事が出来るかどうかの基準になればと思います。

体制の基準

① 申請者が建設業法第3条の許可を受けていること。
② 申請者が建設キャリアアップシステムに登録していること。
③ 技能実習生を建設キャリアアップシステムに登録すること。

すなわち、許可を受けた建設業の種類と技能実習の職種は必ずしも一致している必要はありません。
「とび・土工・コンクリート」の許可を受けている場合の技能実習の職種は「とび」となる企業がほとんどです。
「塗装工事」の許可を受けている場合の技能実習の職種は「左官」となります。

そこで、「解体業」の許可を受けた企業が技能実習の職種「とび」で受け入れる事ができるかどうか?といえば上記の基準に照らせば可能となります。

技能実習は技能実習計画に沿って作業を進めなければなりません。
技能実習計画を作成しなければなりませんが、この作業には「必須業務」や「関連業務」の作業量が決められています。

 

必須業務は1/2以上。そのうち安全衛生業務を10%以上。
関連業務は1/2以下。
周辺業務は1/3以下。
作業に関しては、各企業に聞かなければなりませんので、この業務が1年間でこなせるかどうかはしっかり企業にヒアリングと実行をしなければなりません。

解体業が技能実習生を受け入れる事は可能ですが、技能実習計画に無理があるなら不可能と判断することになります。

とび職種の作業↓

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11800000-Shokugyounouryokukaihatsukyoku/0000184878.pdf

 

実習生の待遇の基準

①技能実習生に対し、報酬を安定的に支払うこと
建設業は雨の場合、仕事ができない事から日給月給という形が取られている場合が見受けられます。
安定的な報酬となるので、企業が雇用している他の職員が月給制でない場合であっても、技能実習生に対しては月給制による報酬の支払が求められます。
また、会社都合や天候を理由とした現場作業の中止等による休業について欠勤の扱いとすることは認められません。
天候を理由とした休業も含め、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合には、労働基準法に基づき、平均賃金の60%以上を支払う必要があります。
悪天候の日には年次有給休暇とするかどうか等、建設業の場合は監理団体と受け入れ企業はしっかりと話し合う必要があります。

さいごに

私の知る監理団体に聞くと、「解体業」は扱わない組合と扱う組合がありました。
どちらが間違っているとかではありませんが、出入国在留管理庁・厚生労働省・国土交通省の運用要領を遵守し、企業の要望に沿えるように判断すべきかと思っています。

一方で「知り合いの解体業に実習生が居るからウチの会社もいけるでしょう」と言われますが、作業内容や労働基準法、労働安全衛生法の遵守は同じ解体業と言えども違います。
一概に返答できませんが、社内の体制によって変わるとしかいえません。

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