技能実習生の本国での借金と本国で支払う手数料
- 2022.11.28 公開
- written by IKEDA

①人情、罪と罰
「以前にビザの切れた外国人を雇った事がある」
という話を聞きました。
本国で借金がありこのままでは帰れないから働かせてほしいと必死にお願いされたので働かせていたが結果的に数カ月で本国に強制送還されたそう。
どうやらその外国人は建設会社で働いていたことは謳わなかった様で、社長曰く、
「本人がホンマに困ってたから働かせた。困ってるなら助けてあげたかった。」
と社長は言いました。
つくづく大阪は人情の街だと思います。
人情味のある社長だからこその気持ちはわかりました。
それに対し
・不法就労助長罪の可能性
・他の従業員に迷惑をかけてしまう可能性
を話す事はテンプレートの様に思います。
外国人関係だけでなく、「困ってるなら助けてあげたい」というのはかなり耳にします。それでも他の人に迷惑をかけてしまう事は避けなければなりません。
こういう時はドストエフスキーの罪と罰が頭をよぎります。
②技能実習生に対する手数料の上限
上記の様に技能実習制度で来日する外国人は本国で借金をして来日するケースがほとんどです。
借金の額は50万円から60万円が多く、80万円から90万円の借金をしている人もいます。
これは本国の送出し機関に支払っている手数料となるのですが、手数料は上限が決められています。手数料の上限は国によって変わります。
〇ベトナム
・3年契約・・・3600USドル以下、1年契約・・・1,200USドル以下
・520時間の日本語教育に対し、事前教育費として590万ドン以下(約30,000円~35,000円)
となっています。
不当に多く徴収する送り出し機関が減ってきているという話は聞きますが、それでも上限金額より多く徴取する送り出し機関は多く、この基準を遵守すれば日本国内での諸問題の解決に繋がると思います。
日本の受け入れ企業においても、面談の際に実習生の借金の金額を聞き、借金の金額が多い場合はその実習生は受け入れない企業も増えています。
また、以前には技能実習制度を監督する外国人技能実習機構(OTIT)は日本国内での失踪者数の多い現地の送り出し機関の受け入れを停止する措置を取ったとのニュースもありました。
直近では技能実習と特定技能の一本化を検討しているという報道もありましたが、受け入れを検討している企業はこれらを踏まえて検討してもらえればと思います。