ウクライナ戦争難民と日本の難民制度

  • 2023.04.24 公開
  • written by IKEDA

入管関係の打ち合わせをしていると、漠然とした疑問が発せられることが多々あります。
その中で2度目の疑問が発せられたので紹介します。
「ウクライナ有事において日本はなぜウクライナ難民を受け入れないのか?」

先日この話題がでたときは2度目ということもあり、上手に説明ができました。
とはいえ、2度ある事は3度ある、と思い先に記事にしました。
現在日本ではウクライナ人を「避難民」として受け入れているが、これは入管法上の難民ではなく、期限付きの特例措置となっています。
ですので制度上の難民とはどのようなものであるかを確認します。

難民の地位に関する1951年の条約 
第1条【「難民」の定義】

人種、宗教、国籍もしくは特定の社会的集団の構成員であることまたは政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために、国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けることができない者またはそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まない者及びこれらの事件の結果として常居所を有していた国の外にいる無国籍者であって、当該常居所を有していた国に帰ることができない者またはそのような恐怖を有するために当該常居所を有していた国に帰ることを 望まない者。

1条前半部分について

①人種、宗教、国籍もしくは特定の社会的集団の構成員であることまたは政治的意見を理由に
②迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために、

・人種
・宗教
・国籍
・特定の社会的集団の構成員であること
・政治的意見

この5つ以外の理由ならば「難民」となりません。
この時点で「紛争から逃れた人」があてはまらなくなってしまうのですが、「迫害を受けるおそれがある」という事を証明するというハードルがあり、難民申請した次の日に難民認定となるわけではありません。
「迫害」とはどういうものか?判例で解釈がなされでいますが、入管法上で明確に定義されているわけではありません。

 

1条後半部分について

③国籍国の外にいる者であって、
・その国籍国の保護を受けることができない者
・またはそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まない者
④及びこれらの事件の結果として常居所を有していた国の外にいる無国籍者であって、
・当該常居所を有していた国に帰ることができない者
・またはそのような恐怖を有するために当該常居所を有していた国に帰ることを望まない者。

③④
「国籍国の外にいる者」が難民の対象となるので、①を理由として自国から逃れる事ができた人が対象という事になります。

今よりも多く難民を受け入れる事に関しては「難民条約で定義される難民」に限定されている入管法の改正が必要となります。
もしくは条約の改正ですかね。

また入管法では「難民申請の申請中は日本に在留できる」という制度のため、非正規滞在者の難民申請し、数年日本に在留するという事例もあります。
これにより、難民申請中も国外退去できるようにと現在入管法の法改正が審議されていますが、本来苦しんでいる人をより苦しめてしまう側面もあります。

この話をした後に先方は
「ウクライナ人は救ったったらええ。入管法は改正せんでええ」
とおっしゃっていました。

さいごにChatGPTに「なぜ日本は難民認定が少ないのか?」ときいてみた。

日本が難民認定を行う際には、1951年に採択された国連難民条約と1967年の議定書に基づいています。この条約は、迫害や暴力などの理由で本国を離れざるを得ない人々を保護することを目的としています。

しかし、日本は条約を批准しているにもかかわらず、難民認定率は非常に低い状況にあります。これは、日本政府が厳格な審査基準を設けていることや、難民申請者に対する認知度や支援体制が不十分であることなどが影響しています。

また、日本は人口密度が高く、労働力不足のために外国人労働者を受け入れる政策を進めています。そのため、難民申請者に対しても、外国人労働者としての受け入れや、技能実習生としての受け入れなど、留まるための別の手段が提供されることがあるため、難民認定が難しいとされています。

さらに、日本は「民族・国籍・宗教・文化の違いを理由とする差別や偏見」がないという立場をとっており、外国人の受け入れに対しても綿密な計画が必要だとされています。そのため、難民申請者に対しても、国内での生活や就労などが安定することを確認する必要があるとされています。

以上のような理由から、日本の難民認定率は低い傾向がありますが、国際社会からの批判を受け、より人道的な対応が求められているとされています。

 

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